クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「この船、私みたいに恋人同士や夫婦で来ている方が多いようですね。安藤さんこそお一人でいらっしゃったんですか?」

 軽口は避けて、話を繋げる。

「まあ、そんな感じです」

 本当に? と少し思ったのは、彼の先ほどの発言のせいだ。

 曖昧に濁すなんて、相手がいるのにほかの女性を物色しているんじゃないだろうか。

 これはさっさと飲み物をいただいて部屋に戻ったほうがよさそうだと判断し、飲むペースを速める。炭酸なのもあって、すぐにはグラスを空にできない。

「でも、ご夫婦でこの船に乗るなんてすごいですよね。ご主人はなにをされている方なんですか?」

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