クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「実は僕、記者をやってまして。今回も取材を兼ねての旅行なんです。もしクリスタルスイートのお客さんに出会えたら、教えてくれませんか? 取材させてもらいたいんですよ」

「……記者さんだったんですね。もしお会いしたら伝えておきます」

 取材されたくないな、とひそかに思う。

 私が自分の力で手に入れた幸運ではないし、透哉さんに取材の時間を用意してもらうぐらいなら、改めてちゃんと二人で過ごしたい。

 下手に答えるとボロが出てしまいそうな気がして、自然と口数が少なくなる。

 幸い、安藤さんは話をするのが好きらしく、私が相槌を打つだけでも充分会話が成り立った。

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