クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 しばらくしてから、ふと眩暈を覚える。顔もなんだか熱かった。

 緊張状態が続いたのもあって、少し疲れたのかもしれない。

「安藤さん、カクテルをご馳走様でした。そろそろ戻らなければならない時間なので失礼しますね」

「あれ? 今日は用事がないんじゃなかったんですか? もう少し話しません?」

 猫なで声が妙に鼻につき、こめかみがずきずき痛みだす。

「いえ、ちょっと疲れたようなので……」

「だったら水を頼みましょうか?」

 いや、だから解放してほしいと言ってるんです! と勢いのまま言いそうになって堪える。

 眩暈はどんどんひどくなっていて、視界が揺らいで見えた。

< 127 / 250 >

この作品をシェア

pagetop