クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「あ……もしかして氷室さんの旦那さんですか? 彼女、お酒のせいか眠ってしまって……」

 たどたどしく言った男は日本人で、物珍しさを覚える。

 だが、今はそれよりももっと気になる事があった。

 どうしてこの男は七海と二人で酒を楽しんでいたのだろう。しかも彼女が酔い潰れるまで。

「妻の話し相手をありがとう。彼女の分の飲み物代は俺のほうで払っておくから、君も自分の部屋へ戻れ」

「は、はい」

 七海と一緒に過ごしていたというだけで敵対視してしまい、つい口調がきつくなる。

 彼が彼女に害を及ぼす人物だと決まったわけではないのに、俺はこんなに心の狭い男だっただろうか。

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