クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 床に落ちていた七海のものと思わしきスマホを拾ってから、彼女の身体を横抱きにして抱き上げる。

「とーやさん……?」

 彼女らしくない気の抜けたぽやぽやした声で名を呼ばれ、男への苛立ちが一瞬で吹き飛んだ。

「ああ、そうだ。部屋まで運んでやるから、じっとしていろ」

「……うん」

 ぎゅ、と七海が俺の首に腕を回して擦り寄ってくる。

 これはなかなか忍耐が必要だと思いながら、バーを出る際に入口のクルーへ飲食代は俺持ちにするよう伝え、部屋へ向かった。



 ベッドに下ろすと、七海はまだぼんやりしたまま荒い息をこぼしていた。

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