クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「酔った時には水を飲むのが一番だ。薬が必要ならそれも用意させるが」

「違う……」

 顔を覆っていた腕をどけると、七海は頬を赤らめたままちらりと俺を見た。

「とーやさんは、なんで私に優しくするの……」

 彼女の背中をさすっていた手が止まる。

「……気を使われるのは嫌だったか?」

 酔っているのなら、これは彼女の本音だろう。

 もしかして俺に対して思うところがあるせいで、出会ったばかりの男とバーで酔い潰れるほど酒を飲んだというのか。

 普段の彼女からは考えられない行為だが、それほど混乱させ、追い詰めたのかもしれないと不安になる。

 七海がふうっと息を吐いた。

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