クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「これ以上されたら、好きになっちゃうのでやめてください……」

 再び手で顔を隠しながら言った彼女は、そう言うときゅっと唇を引き結んだ。

 ……今、七海はなにを言った? 好きになると言ったのか?

「七海」

 彼女の顔を見たくなって、そっと手を掴んで横にどける。

 頬を紅潮させ、目を潤ませた彼女が俺を見つめ返していた。

 その瞳は不安に揺れていたが、俺への嫌悪感は見当たらない。それどころか焦がれるような眼差しをしていて、幻聴かと思った言葉が真実だと教えてくれる。

「好きになっていい」

 もしも本当にこれが七海の本音なら。

 願いを込めて、七海の頬を手で包み込む。

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