クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「君の心を手に入れられるなら、どんな事でもする」

 七海は甘えるように俺の手にすり寄ると、ほっと肩の力を抜いて目を閉じた。

 俺への返答を口にしないまま、すぐに穏やかな寝息を立て始める。

 彼女が無防備に心をさらけ出したから、俺も本心を明かしてしまった。

 もしかしたらという期待を抱いて想いを伝えたが、七海は目覚めた時に俺の言葉を覚えてくれているだろうか?

 俺との関係を不安に思っているなら、彼女を安心させるために身を引こうと思っていたが、これではより深く遠慮を捨てて踏み込みたいと願うのは当然ではないか。

「好きだ。ずっと前から、君が好きだった」

 目を覚ましている彼女には言えない言葉をこぼし、規則正しい呼吸を封じるように唇を重ねる。

 彼女に嫌われるかもしれないなんて、俺らしくない臆病心はもう消し去っていいのだろうか。

 もっとはっきりとした確証が欲しくて、まだ心のすべてを完全には明かせそうにない。
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