クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 私が誰といようと構わないのだろうか。それはなんだか切ない。

 寂しさを感じるのは、若菜が言っていたように私が透哉さんを好きだから?

 だけど、その理論でいくとずいぶん早い段階で私は彼に恋をしていた事になる。契約夫婦とはいえ、距離がある事を寂しく思っていたのだから。

「昨日の男性──安藤さんが落とし物をしたらしくて、一緒に探していたの。結局見つからなかったんだけど、お詫びとお礼を兼ねて飲み物をご馳走するって言われて……。ノンアルコールを頼んだはずなのに、なんで酔っちゃったんだろう」

 説明すればするほど言い訳じみて聞こえて、彼の顔を見られなくなる。

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