クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「それに一杯しか飲んでないんだよ。お酒に強いほうじゃないけど、意識がなくなるまで酔ったのは初めて」

「そうか」

 返答があまりにも短くて、透哉さんを怒らせたのかもしれないと不安になる。

 透哉さんは自分の口もとに手を当てて、何事か考えているようだった。

「礼に付き合ってあの場にいたのか……」

 ぼそ、とつぶやくのが聞こえ、首を縦に何度も振る。

「や、やましい事はしてないです!」

「わかっているから落ち着け。また敬語に戻っている」

「あ……ごめん」

 彼に変な誤解をされるのがこんなにも嫌なのは、やはり惹かれているからなのか。

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