クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「魅力的だけど、ギリシャも行ってみたい国だったから」

「そうか。ここにいる間、希望があったら言ってくれ」

「ありがとう」

 昨日、散々迷惑をかけたのに、透哉さんはもう話題にしなかった。

 心の内を読ませない人ではあるけれど、私に対する優しさや気遣いはいつも感じる。

 だからきっと、私は夜のひと時を求められなくても透哉さんを好きになっていたと思う。

「この後は大聖堂に向かう予定だが、ほかに見たいものは?」

「ちょっと思いつかないな。なにがあるかよく知らないの。海岸がきれいらしいって事ぐらいで。こんな事なら、今日までの間に調べておけばよかったね」

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