クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 そう言ってから、若菜と話した事を思い出す。

「あ、お土産屋さんってあるかな? 初日に買っておいたほうが、後でばたばたしなくてすむかも」

「ああ、それならいくらでも。この辺りで有名なのは、やはりリモンチェッロじゃないか」

「レモンのお酒だよね? 私も本場のものを飲んでみたかったんだ。……あっ、でも飲みすぎないから! 本当だよ」

 昨日の今日でアルコールの話をふくらませたのは失敗だった。

 慌てた私を見下ろした透哉さんが、驚いた事にふっと微笑する。

「その時はまた俺がベッドに連れて行く。ほかの男の前でなければ、好きなだけ酔ってくれて構わない」

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