クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 もしもこのまま透哉さんと出会えず、なにかのトラブルにでも巻き込まれたら? 海外の一人旅は危険だと聞いていたから、必要以上に不安を覚えてしまう。

「透哉さん……」

 引き続き電話をかけてみるも繋がらず、どんどん焦りが募った。

 ひとまずはおとなしくここで待っていたほうがよさそうだ。

人の邪魔にならない位置でしばらく立ち尽くしていると……。

「七海!」

 いつの間にかすっかり耳に馴染んだ低い声が聞こえて振り返る。そこには会いたかった人がいた。

「透哉さん……! よかった、ずっと電話が通じなくて心配してたの」

 力がふっと抜けるほどの安堵が全身に広がっていく。

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