クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 無意識に彼の胸もとをぎゅっと掴み、顔を埋めて深呼吸する。

 心細かった時、透哉さんの顔を見て自分でも信じられないほどほっとした。やっぱり若菜が言っていた通り、私はとっくにこの人を好きなのかもしれない。

 そうでなければ、私のために速度を増した鼓動にまで胸をときめかせたりしないだろう。

「はぐれてごめんなさい」

 彼の胸に顔を埋めながら言うと、とんとんとあやすように背中を撫でられた。

「もっとわかりやすい場所で待っているべきだったな」

 透哉さんが私を見下ろし、申し訳なさそうに言う。

< 150 / 250 >

この作品をシェア

pagetop