クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 私は臆病だ。彼の気持ちが自分にない可能性に怯えて、『好き』のたったひと言も伝えられないのだから。

 繋いだ手にぎゅっと力を込め、少しでも触れ合った場所からこの想いが伝わるようにと願う。

 見上げた透哉さんの横顔はいつも通りクールで、彼が簡単になびくような人ではないという切ない事実を教えてくれた。



 イタリアでの時間はあっという間に過ぎていった。

 もう最終日を迎え、自分でも時間の速さが理解できずひたすら首を傾げる。

 自分の気持ちを認めてからは、少しだけ勇気を出して積極的に彼との距離を縮めようと頑張ったけれど、果たして効果は出ているのかいないのか。

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