クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 今日はローマで一日を過ごしてから、船に戻る事になっていた。

「やっぱりイタリアにひと月滞在してもよかったかも」

 歩き慣れない石畳を歩きながら、透哉さんに話しかける。

「よほど気に入ったようだな」

「どこを見ても素敵だったから……。ここなら住めるかもって思ったよ」

「さすがに仕事を考えると永住は難しそうだが、別荘なら用意できそうだ」

「いいなぁ、別荘。ちょっと憧れてたりして」

 用意できそう、なんて言っているけれど、既に彼はいくつも所有していそうだ。持っていたと聞いても、今はそこまで驚かない気がする。

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