クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
タクシーではなく徒歩で移動し、街並みをゆっくり見ながらたくさん会話をしたい。どんな事に興味があり、なにをおもしろいと感じるのか、私たち二人の似ている部分とそうではない部分を知りたい。

「今日もはぐれないように」

 そう言って透哉さんの手を私のほうから握ると、彼は薄く微笑して応えてくれた。

 本当はもう手を繋ぐ必要なんてないのだ。

 初日の夜、彼は私にGPS機能が付いたブレスレットをプレゼントしてくれたから。

 視線を下げると、透哉さんと繋いだ左手の手首に、とてもアクセサリー以上の機能があるとは思えないブレスレットが揺れている。

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