クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 私が散策したいとねだったのに、休憩のタイミングまで決めるのはわがままが過ぎるだろうか。だけど、彼に疲れた時は言ってほしいと伝えた私が我慢するのも違うように思える。

 どうしようか悩んでいると、透哉さんが高台へ続く道を示した。

「少し休憩するか。街並みを見ながら休めばいい」

 彼のその言葉にどきりとする。

 聞かなくても、透哉さんが私の様子に気付いて提案してくれたのはわかっていた。

 彼は口にしないだけで私のために多くの事を考え、心を砕いている。

「……ありがとう」

 こういう瞬間、私の心は自分では抑えられないくらい彼に惹きつけられた。

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