クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 好き、と言う代わりに感謝を伝えると、透哉さんはなにも言わずに形のいい唇をふっと緩める。

 困ったな、どんどん好きになってるな。

 彼の手を離さないようにしながら、高台へ向かう階段を上がった。

 徐々に見えてきた頂上は、建物の屋上というのが一番近いかもしれない。四方を胸もとまでの手すりでぐるりと囲んであり、乗り越えなければそう簡単には落ちないようになっている。

 それほど時間をかけずに目的地へたどり着くと、そこには疲れを忘れるほどの絶景が広がっていた。

 今すぐにでも座りたいくらい足が張っていたのに、手すりに駆け寄って立ち並ぶ建物の数々を目に焼き付ける。

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