クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 透哉さんは口もとに苦笑を浮かべ、指の背で私の頬をなぞった。

「君が俺を喜ばせたりするからだ」

 胸がいっぱいになって、目の前がじわりと滲み始めた。

 だめだ、このままでは泣いてしまう。透哉さんが好きすぎて、気持ちを抑えられなくなる。

 もう私は戻れないくらいこの人の事が好きなのだと、恋愛なんてまともにした事もないのに理解してしまった。

「私も、今のキスで喜んだよ」

 返答としてはなにかおかしい気もしたけれど、うれしかったという気持ちはちゃんと伝えたくて声に出す。

「すごくうれしかったよ……」

「……そうか」

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