クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「行きたい……が、急ぎで対応しなければならない仕事が入ってな。午前中は難しそうだ」

 透哉さんが残念そうに目を伏せて溜息をつく。

 今までだったら気を使って行きたいと言ってくれたのかも、と思っていただろうけれど、今は彼が本心からそう思っているのがわかっている。

 なぜなら透哉さんが以前よりずっと表情豊かになったからだ。

 ギリシャで表情の変化について触れた時、透哉さんはキスを終えた後にこう言った。

『君の前でわざと笑わないようにしていたわけではないんだ。どう接すればいいか悩んで、緊張していたのだと思う』

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