クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 イタリアでも似たような事があったなぁ……。

 なんてほろ苦い回想に浸っている場合ではない。このままではイベントが始まるどころか、終わってしまいかねない。

 どうしてこうなったかと言えば、透哉さんの事で頭がいっぱいになっていたせいだ。

 ほかに比べて朝(エオス)エリアに足を運ぶ回数が少なく、場所を覚えきれていなかったというのもあるだろうけれど。

 いつの間にか甲板のほうまで出てきてしまい、潮風が笑うように私の頬を撫でる。

イベントが行われるためか、人の姿はまったくなかった。

 甲板なら前にも来た事があるから、自分の位置を把握できるかもしれない。

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