クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 二人の男を振り切ろうと必死に駆け、ようやく見つけた下へ向かう階段を降りようとするも、その前になぜかバーテンダーが中から外へ上がってくる。

「ど、どうして……」

「馬鹿だなぁ、奥さん。あんたよりクルーのほうが船に詳しいのは当たり前だろ?」

 背後から声が聞こえたかと思うと、伸びてきた安藤さんの腕が私を羽交い絞めにした。

「嫌っ! 離して!」

「ちょっと予定は狂うが、まあいいだろ。──こいつを人質にして氷室財閥から金をむしり取ってやろう」

 必死にもがいて彼の腕から逃れようとするも、次の瞬間、その腕がぐっと絞まって息ができなくなった。

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