クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました

　昼食を一緒にとると言っていたのに帰りが遅い事を訝しく思っていたら、蒼白な顔のオフィサーが部屋へやってきたのである。

『奥様はお部屋にいらっしゃいますでしょうか？』

『いや、今はいないが……。なにかあったのか？』

『それが、不審な者から奥様について突然連絡がありまして』

　彼はいたずらだろうと話を流さず、俺のもとへ七海の無事を確認しに来たのだった。

　どういった話を聞いたのか詳細を伝えられ、胃を掴まれるような重い衝撃を受ける。

『つまり連絡をしてきた男は、七海の無事を約束してほしいなら身代金を払えと言っているんだな』