クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 彼女は無事なのだろうか? 必死に俺に情報を伝えようとして、これ以上恐ろしい目に遭っていたら。

「どこへ向かっているかは知らないが、七海を解放しろ。金が欲しいならいくらでもくれてやる」

 ──だから、彼女だけはどうか無事に帰してくれ。

 こんな卑怯な犯罪者に乞いたくはないが、心の中で付け加える。

『そうそう、あんたのサービス精神に応じていい事を教えてやるよ。その船には爆弾が仕掛けられてる』

「……なんだと?」

『妙な真似をしたらドカンだ。それじゃあな』

「おい!」

 それきり男の声が聞こえなくなり、電話が切れてしまう。

 叩きつける勢いで子機を戻し、部屋をすぐに飛び出した。
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