クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 透哉さんとの通話で可能な限りの情報を伝えようとした私は、途中で電話を取り上げられ、救命ボートの床に突き飛ばされた。

 気絶している間に縛られていたらしく、縄の痕が残る手を再び拘束される。

「お、ほんとにまた振り込んだ。いい金ヅルだな」

 安藤さんが下卑た笑みを浮かべてスマホを見る。

 そして私を振り返った。

「よっぽど愛されてるんだな、あんた。たった一人のために数億溶かすなんて、普通じゃ考えられないよ」

 愛されている──。

 透哉さんが抱く想いを、この男からは聞きたくなかった。

「旦那に免じて、馬鹿な真似をしたのは許してやる」

「私をこれからどうするつもりですか?」

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