クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 透哉さんの心配する声が。そして惜しみなく振り込まれる資産が、これまで彼から感じた好意が勘違いではないと教えてくれた。

 こんな時にならなければ一歩踏み出す気にならないなんて情けないけれど、彼が示してくれた気持ちを私もちゃんと返したい。

「こんな状況なのに強気だな」

 安藤が私に向かって手を振り上げたのを見て、咄嗟に目を閉じる。

 だけど予想していた衝撃はいつまで経ってもなく、憎たらしい笑い声が聞こえてから恐る恐るまぶたを開いた。

「もう少し無事でいてもらわなきゃならないからな。──こいつを見ておけ。俺は仲間に連絡を取る」

< 203 / 250 >

この作品をシェア

pagetop