クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 ずっと黙っていたバーテンダーが私のそばに座り、むっつりと唇を引き結ぶ。

 その視線がちらりと私の手もとに移った。

 無意識に目で追いかけ、あっと声を上げそうになったのを堪える。

 立て続けにいろいろ起こったせいで存在を忘れていたけれど、私には透哉さんからもらった〝プレゼント〟があった。

 身じろぎする振りをして、縛られた手首をボートの内壁に押し付ける。

『このブレスレットにはGPSが付いている。ここのボタンを押すと、俺のもとに君の位置情報が届くようになっているんだ』

 透哉さんの声が頭の中によみがえった。

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