クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 あの時はGPSが必要になる状況なんて恐ろしいと思っていたけれど、まさか本当に役立つ時が来るとは。

 丸い宝石のチャームがかちりとわずかにへこんだのを感じ取る。

 指で押しているわけではないから、これで正しいかはわからないものの、後は透哉さんのもとに居場所の通知が行った事を信じて待つしかない。

 本当はこの場で泣き出したいくらい怖かった。

 いつ殺されてもおかしくない中で正気を保つのは、ひどく精神を摩耗する。

 だから、透哉さんの事だけ考えよう。

 いつか離婚するとしても、もっと早く彼に気持ちを伝えておけばよかった……なんて後悔はしない。

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