クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 一回ネガティブな思考になったら深みにはまってしまう。

 これからでもまだ遅くないのだから、無事に透哉さんのもとへ戻って自分の口で伝えるのだ。

 あなたを愛している、と。



 不自由な体勢で船に揺られてしばらく経つと、安藤と男は明らかに無人島と思わしき島にボートを寄せた。

 両足の縄だけ解かれ、二人に急き立てられて私も島に上陸する。

 もしも普通に透哉さんとこの島へ来ていたら、人の気配がない秘境感と、地中海の美しい海に感動していただろう。

 淡いネオンブルーの波打ち際と白い砂浜には目を奪われたけれど、景色に見とれている場合ではない。

< 206 / 250 >

この作品をシェア

pagetop