クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました

　もしかしたら父の就職先が決まるかもしれないと三か月待った結果、私が頑張ったほうが早そうだと判断し、音羽社長に副業の許可と相談をしたのだ。

　そうして紹介されたのが彼の従兄弟、氷室透哉さんだった。

　彼は多くの会社と接する機会が多く、本人もグループの後継ぎでいずれはグループ会社をまとめる立場にある。私にとって都合のいい副業先を紹介してくれるとしたら、氷室社長はぴったりだ、という話だったのだけれど。

「結婚……ですか」

　長い思考タイムを経て、呻くように言う。

　氷室社長は涼やかな眼差しを私に向け、深く頷いた。

　彼と音羽社長は、従兄弟だからなのか雰囲気がよく似ている。