クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 殺されるかと思ったら、今度は言葉の通じない人に銃を突きつけられている。

 今度こそ怖くなってきゅっと唇を噛み締めると、先ほど上空を駆けていたヘリコプターが砂を巻き上げながら浜辺に降り立った。

 波が泡立ち、飛沫にまみれた顔が塩辛い海水で濡れる。

 目を開けられない状況に、今度はなにが起きたのかと思っていると。

「七海!」

 この声は……と顔を上げると同時に、ヘリコプターから降りてきた透哉さんが、制服姿の男たちをかき分けて私を抱きしめた。

 これは現実? それともあまりにも怖い事が続きすぎて、都合のいい幻覚を見ているだけ?

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