クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 彼に会ったら言いたい事があったのに、全部頭から吹き飛んで泣きじゃくる。

 安心したせいで身体の力が抜け、波打ち際にへたり込んでも、透哉さんは私を離そうとしなかった。

 二度と離さないとでもいうように。



 無事に救出された私は、透哉さんが乗ってきたヘリコプターでマルタ島の病院まで運ばれ、精密検査を受けた。

 病室は個室のようで、私以外に患者の姿はない。

「特に大きな怪我はないようだな。頭にぶつけた跡があると聞いたが、なにがあった?」

 私の代わりに医者から話を聞いた透哉さんが、清潔なベッドで身体を起こした私に尋ねる。

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