クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「ずいぶんと前からターゲットにされていたようだ」
透哉さんは厳しい顔をして私への説明を続ける。
あのバーテンダーはもともと犯罪組織の一員ではなく、懐柔されて協力者の立場になったらしい。だから安藤を責めていたのだろう。
「かなり徹底した計画だった事がわかっている。安藤と名乗る男と日本語でやり取りしていたのも、船を利用する多くの乗客が聞き取れない言語だからだったと聞いた」
「わざわざ日本語を勉強してまで? かなり大がかりな計画だったんだね」
透哉さんが深くうなずく。
彼の話によると、安藤は私が透哉さんの妻だと知って声をかけてきたわけではないらしかった。