クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 隙のある乗客に『ものを失くした』と声をかけて近付き、どこの部屋に泊まっていて、どの程度の資産を有しているのか情報収集を行っていたそうだ。

「でも私、クリスタルスイートに泊まってる事もあなたの話もしなかったよ」

「バーテンダーが俺を知っていたせいだ」

 ああ……と納得して眉根を寄せる。

「安藤は君にしたように相手を酔わせて、情報を抜き取っていた。ノンアルコールカクテルを頼んだと言っていただろう? あれもバーテンダーが協力者だったから、違うメニューにすり替えられたんだ」

「……そうだったんだ」

「酔った君を迎えに来たのが俺だと知って……万が一の際には利用しようと決めていたようだな」
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