クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 挨拶をするだけでも緊張するような、どこか威圧的で冷たく、絶対的な支配者なのだと感じさせるオーラ。クールな表情からは、彼がどんなふうに笑うのかまったく想像できない。

なにかと仕事で話す機会が多い音羽社長のほうが、まだ氷室社長のそばにいるよりも息がしやすいかもしれなかった。

 ゆえに今も私は、喉をカラカラにしながら彼と相対している。

「なぜ、副業を紹介いただく話から結婚の話になったのでしょう……?」

 恐る恐る尋ねると、氷室社長はひと口も飲んでいなかったアイスコーヒーに初めて手をつけた。

 形のいい唇が上品にストローをくわえ、高級ホテルの薫り高いアイスコーヒーを吸い上げる。

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