クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「よかった。あなたの大事なお金が、犯罪者の手に渡るなんて嫌だから」

「別に誰のものになってもいい」

 透哉さんは斬り捨てるように言うと、私の頬を包むように触れてきた。

「君を取り戻せるのなら、すべて失っても構わない」

 愛おしさと慈しみを込めた優しい眼差しをまっすぐに向けられ、今まで彼の好意を信じ切れなかった自分を心から恥じる。

 恥ずかしくてちゃんと透哉さんの目を見られずにいたから、彼がこんなに愛情に満ちた目で見つめてくれていた事にも気付けなかったのだろうか。

「だめだよ。私のためになにも失わないで。……私にとって大事なのは、透哉さんなんだから」

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