クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 母が凄みを効かせて言い、父親が肩をすくめてから大事に取っておいたらしいおかずに箸を伸ばす。

 二十前半って言ってくれるだけ、うちの父は母に甘いと思う。

 二人がいつまで経ってもほのぼのした夫婦だから、透哉さんに契約結婚を提案された時もそこまで抵抗がなかったんだろうか?

「うちの分も、もうなくなったのか?」

 透哉さんが私と両親のやり取りを見て、義両親に話しかける。

「まだ残ってるわ。せっかく七海ちゃんからもらったお土産でしょ? もったいないって二人ともなかなか食べられなくて」

 義母の横で義父がうんうんとうなずいている。

「そんな、もったいないなんて」

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