クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 彼の真っ黒な瞳に囚われている事にどきりとして目を逸らそうとするも、一度見つめ合ってしまったら、もう魔法にかけられたように動けなかった。

 言葉だけでなく行動でも示そうと、彼の背中にそっと腕を回す。

 氷室さん──いや、もう結婚して同じ苗字になったのだから、透哉さんと呼ぶべきか。ともかく彼は、私の手が背に触れた瞬間、微かに身じろぎをして反応を示した。

「大丈夫なら続けるぞ」

「……うん」

 透哉さんは私の耳もとに顔を寄せると、極限まで気を使っている素振りを見せながら、軽く耳朶にキスをした。

 たった一瞬で甘い痺れが全身を駆け抜けていき、足先まで到達する。

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