クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
「……やはり言うべきだったか」

 ぽつりと言った透哉さんが苦い表情を浮かべている。

「サプライズのつもりだったんだが……。どうやらやり方を間違えたようだな」

 あの氷室透哉が、サプライズ?

 これなら魚が空を飛んだとか、夏なのに雪が降るとか、そういう事を言われたほうがまだ理解できる。

 そのぐらい、彼にはサプライズという言葉が似合わなかった。

「どうしてサプライズなんて……」

「今日から君は俺の妻だろう」

 私に契約を提案した時と変わらない、冷静そのものといった眼差しだ。

 だけどどうしてだろう、彼の視線をまっすぐ受け止めるのが少し気恥ずかしくて目を逸らしてしまう。

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