クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 思わず出そうになった声を押さえ込み、手で自分の口を覆った。

 訝しげな視線を感じ、問われる前に行動の意味を伝える。

「声が出そうになったから……」

 恥ずかしくなったんです、と続けようとしたのに、その先を言う前に顎を掴まれて唇を塞がれた。

 驚いて言葉を失った私から唇を離し、透哉さんが少し息を荒らげながら言う。

「あまり俺を試すな。……卑怯だ」

 彼は私の何を卑怯だと言っているのだろう?

 それを問う前に、また軽くキスを落とされた。

「悪いな。清い関係でも構わないと言ったのは俺の方なのに、結局君を求めている」

「ううん」

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