クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 彼の声と眼差しから、罪悪感と同時に隠し切れない強い欲求を感じる。

「本当に嫌なら拒んでるよ。でも、氷室さんなら……」

 言いかけてから、あっと小さく声を上げた。

「ごめんなさい。透哉さんだったよね。まだ慣れなくて」

「だから、どうして君は……」

 透哉さんが深く息を吐いてから、私の耳に指を滑らせて撫でた。

 普段より間違いなく熱くなっている彼の指で触れられると、いつもはなにも感じないはずの耳がひどく敏感になる。

 くすぐったくて、逃げたいような恥ずかしさがあって、胸の奥がざわざわした。

 勝手に身体が反応してしまい、伸ばしていた足の指をきゅっと丸めてしまう。

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