クールな御曹司との契約結婚は、初夜から愛と熱情に満ち溢れていました
 自分がこんなに甘く濡れた声を出せるなんて知らなくて、また顔を隠したくなったけれど、手は透哉さんに押さえつけられてしまっていた。

「とう、やさん……手……離して……」

「だめだ。顔を隠すつもりだろう。それとも声が出ないように口を押さえるつもりか? どちらにせよ、許さない。今夜、君は俺にすべてをさらけ出すんだ」

「あ……や、ぁ……だめ……」

 私のしたい事を全部読まれているとは思わなくて、焦りが募った。

 主導権を奪われて流される事を恐れ、彼の腕から逃れようともがくも逃がしてもらえない。

 それどころか、透哉さんはますますきつく私の手首を掴んだ。

< 9 / 250 >

この作品をシェア

pagetop