激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「迷惑なわけがないだろ。誤操作だったとしても、俺に電話をかけてくれてうれしかった」

 本当にこの人は、どこまで優しいんだろう。
 決して人を責めないし、恩を着せるようなことも言わない。
 見返りを期待しない彼の心の大きさに感動してしまう。

 思わず瞳がうるんでしまい、手で顔を覆う。

「どうして泣くんだ?」
「亮一さんがかっこよすぎて」

 素直に答えると、亮一さんが一瞬言葉に詰まった。

「日菜子、酔ってるだろ」
「はい。たくさんお酌をしてもらったので」
「楽しい送別会だったんだな」
「でも、亮一さんの声が聞きたいなって思ってました。いつも電話をくれるのに、今日はくれなかったから、ちょっと寂しかった」
「だいぶ酔ってるな」
「酔ってますよ。酔っ払った私は嫌いですか?」
「嫌いなわけがあるか」

 そうは言いつつ、亮一さんは大きくため息をつく。

「亮一さんに、お誕生日おめでとうって言ってもらいたかったんです」
「日菜子、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます。うれしい」

 にこにこしていると、さらに大きなため息が聞こえた。

「酔っ払った日菜子の破壊力、すごすぎないか」
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