激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「破壊力……」
「頼むから、これから酒を飲むのは俺がいるときだけにしてくれ。そんな顔を見せられたら心配でしかたない」

 彼の心配の意味がわからないけれど、「はい」とうなずく。

「お酒を飲むのは亮一さんとだけにします」
「素直だな」
「私は亮一さんを信頼してますから、なんでも言うことを聞きますよ」
「俺の言うことはなんでも?」
「はい。なんでも」

 赤信号で車が止まると、亮一さんはなにかを葛藤するようにハンドルに顔をつっぷしうめき声をあげた

「そんなふうに無邪気に笑われると、良心を試されているような気分になる」
「良心?」

 私は意味がわからず首をかしげた。



 


 カーテンの隙間から差し込む光がまぶしくて目を覚ます。
 太陽はすでに空高くのぼっていた。


 時計の針は朝というよりも昼に近い時刻を指している。

 昨日は会社の送別会でたくさんお酒を飲んだから、ちょっと寝すぎてしまったようだ。
 たっぷり睡眠をとったおかげで、頭はすっきりとしている。

 軽くのびをしてから部屋を見回す。

 ローテーブルの上には、昨日もらった花束が花瓶に生けてあった。
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