激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
5ワシントンでの新婚生活
■ワシントンでの新婚生活
二週間後。
私はワシントンの空港に降り立った。
十三時間近く飛行機に乗っていたせいで体は疲れているけれど、アメリカでの新生活への不安と期待で、気持ちは高揚していた。
荷物を受け取り到着ロビーを見回す。
亮一さんが迎えにきてくれているはずだけど……。
すぐに見つけられると思っていたけれど、亮一さんの姿はなかった。
ここ以外にも到着ロビーがあるのかな。ちょっと空港内を見てみよう。
そう思って歩き出したとき、うしろから名前を呼ばれた。
「瀬名日菜子さんですか?」
日本語で呼びかけられ振り返る。
そこにはラフな格好をした日本人男性が立っていた。
「はい、そうですが……」
うなずいた私を見て、「よかった、会えて」と大きなリアクションで胸をなでおろす。
年齢は私より少し上くらいだろうか。
明るくて話しやすそうな印象の男性だった。
「在アメリカ合衆国日本国大使館の三等書記官、浜辺と言います。瀬名さんが急な仕事が入ってこちらに来られなくなったので、代理でお迎えに来ました」