激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「そうだったんですね! 休日なのにわざわざすみません」

 頭を下げた私に「いえいえ。あの瀬名さんの奥様に会えるなんて、むしろラッキーです」と笑ってくれた。

 あの瀬名さんという言い方をちょっと不思議に思っていると、浜辺さんは私の荷物を持ってくれる。

「急に日本の国会議員がこちらに来ることになって、瀬名さんはその対応に駆り出されたんですよ」
「そうなんですか」
「瀬名さんは有能な上にあの外見だから、議員たちにも名前を憶えられていて食事に付き合えと指名されるんですよね」

 亮一さんは普段からすごい人たちを相手にしているんだなと改めて驚く。

「車で来てますから、こちらにどうぞ」
「ありがとうございます」

 案内されて駐車場へと向かう。
 車に乗り込み走り出すと、広がる景色にため息が漏れた。

「空が広い……」

 私のつぶやきを聞いた浜辺さんが、ハンドルを握りながら「ほんとですよね」とうなずいた。

「東京から来ると、緑が多くて空を遮るものがないことに驚きますよね」
「本当にアメリカに来たんだなって実感しました」

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