激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「そりゃあもう。目玉が飛び出るくらい」

 豪華な邸宅でアメリカの政府関係者や要人を招いて開かれるパーティーに私も参加するなんて、場違いなんじゃないかと不安になる。

 外交官の妻になる女性はみんな家柄がいいお嬢様で、教養やマナーを身に着けているんじゃ……。
 契約結婚とはいえ、亮一さんの足を引っ張ることはしたくない。

 そんな私の不安を感じ取ったのか、浜辺さんが「日菜子さんなら大丈夫ですよ」と笑った。

「さっき僕がワシントン記念塔の周りを散歩しましょうって誘ったとき、日菜子さん僕を傷つけないように気を使って言葉を選んでくれたでしょう? あれ、うれしかったです」
「そんな、私は普通に……」
「気づかいを普通だと言える優しさって、いい家柄に生まれることよりもずっと重要だと思いますよ」

 浜辺さんはそう言うと表情を変え、鼻にしわを寄せて話し出す。

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