激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
「ぶっちゃけると、前の大使夫人がひどかったんですよ。アメリカに住む花道家にパーティー会場の装花をお願いしたら、『私のほうがうまく生けられるわ!』って勝手に花を生けだしたり、公邸料理人のやり方が気に入らないって素人のくせに口を出して段取りをめちゃくちゃにしたり。へたに家柄がいいので引っ込んでいろとは言えなくて、大使夫人のご機嫌をとりつつ準備を進めるのは毎回骨が折れました」
「それは……、大変でしたね」

 外交官は他国との人脈や信頼を築くためにパーティーを開いているのに、大使夫人のご機嫌をとらなければいけないなんて、本末転倒だ。

「あ、今の大使夫人はとてもいい人ですよ」

 浜辺さんは私を安心させるように付け加えた。

「さ、ここが瀬名さんの自宅です」

 車は四階建ての建物の前でとまった。

 まだ築年数が浅いんだろう。
 近代的でモダンな雰囲気のその建物に「わぁ……」とため息を漏らす。

 中に入るとエントランスはガラス張りで、自然光が差し込み開放感があった。

 しかも、コンシェルジュが二十四時間常駐していて、セキュリティもばっちりだそうだ。
< 147 / 231 >

この作品をシェア

pagetop