激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~
悲しい記憶を思い出し、パニックになったんだろう。
それでもちゃんと理性が働いた、優しい子だと思う。
『早く素敵な家族が見つかるといいね』
『そうね、あなたのパートナーみたいな素敵な人がね』
老婦人はそう言いながら、私に名刺を差し出した。
『あ、ありがとうございます。私は名刺を持っていなくて……』
『いいのよ。私が渡したいだけだから。なにか困ったことがあったら連絡をちょうだい』
老婦人はこちらの名前を聞くこともなく『じゃあね』と手を振った。
数人のスタッフに守られるように会場をあとにする。
会釈をしてその姿を見送ってから、大きく息を吐き出した。
「なんだか、不思議な女性でしたね」
名刺を見下ろしながらつぶやく。
シンプルな書体で『ミシェル・ワトソン』という名前と、電話番号のみが書かれていた。
この名前、どこかで見た覚えがあるような気がするけど……。
「日菜子、本当に噛まれてないか? 大丈夫か?」
亮一さんが真剣な表情で私の腕を掴みブラウスのそでをまくった。
「大丈夫ですよ、本当に」
それでもちゃんと理性が働いた、優しい子だと思う。
『早く素敵な家族が見つかるといいね』
『そうね、あなたのパートナーみたいな素敵な人がね』
老婦人はそう言いながら、私に名刺を差し出した。
『あ、ありがとうございます。私は名刺を持っていなくて……』
『いいのよ。私が渡したいだけだから。なにか困ったことがあったら連絡をちょうだい』
老婦人はこちらの名前を聞くこともなく『じゃあね』と手を振った。
数人のスタッフに守られるように会場をあとにする。
会釈をしてその姿を見送ってから、大きく息を吐き出した。
「なんだか、不思議な女性でしたね」
名刺を見下ろしながらつぶやく。
シンプルな書体で『ミシェル・ワトソン』という名前と、電話番号のみが書かれていた。
この名前、どこかで見た覚えがあるような気がするけど……。
「日菜子、本当に噛まれてないか? 大丈夫か?」
亮一さんが真剣な表情で私の腕を掴みブラウスのそでをまくった。
「大丈夫ですよ、本当に」